なぜ暗いのだって 漏れてくる 木漏れ日が不思議と 地面の下から差し込んでくる 何か 棒のようなものが見えた 春が来た 棒の芽があちこちで顔を出した 伸びて伸びて もう伸びれなくなると 根元から切れて透明に伸びた 棒は空中に浮かんだ それは風で揺れる光の吐息に吹かれ 渡り鳥のように目的地まで飛んでいく 不屈の悲しみで動き続ける 飛んでいく棒には 漢字やひらがなが巻き付けられているようだった 見る度に どんな文字なのか知っていたが 何が書いてあるか覚えられない あるいは ゲシュタルト崩壊、読字障害 そんなものかもしれない あるいは 過去の写真を見つめる目に刺さる針のようで 春が来ても涙は枯れない